最近は日本からアメリカへの送金に Wise(旧 TransferWise)という送金サービスを利用しています。
安くてスピーディーなのでとても気に入ってるのですが、周りに聞いても意外と知らない人が多いので、今回は Wise のしくみ、手数料、送金方法などについてまとめてみました。
Wise とは?
Wise は 2011 年にエストニア出身のクリスト・カーマン (Kristo Käärmann) とターヴェット・ヒンリクス (Taavet Hinrikus) が創業した P2P 送金サービスです。
創業当時、ロンドンで働いていた二人は、母国エストニアへの送金手数料の高さに嫌気がさしたことがきっかけとなり、Wise を立ち上げました。
Wise の国際送金は、従来の国際送金とくらべて手数料が安いため、世界各国で利用者がどんどん増えています。
Wise の基本情報
- ロンドンが本拠地で、ニューヨーク、シドニー、シンガポール、エストニアなど8箇所に事務所を構える
- 2021 年 7 月、ロンドン証券取引所に上場
- 2022 年現在、56 種類の通貨に対応し、低コストの海外送金を可能にしている
- 利用者数は 1000 万人を超え、毎月 60 億ドル以上が送金されている
- 日本ではペイパル同様、資金移動業者として登録されている
Skype(エストニアで開発されたインターネット電話サービス)の最初の従業員だったターヴェットはユーロ通貨(EUR)でお給料をもらっていました。でも彼はロンドンに住んでいたためポンド通貨(GBP)が必要でした。
一方でデロイト(ロンドン発祥の世界最大の会計事務所)に勤めていたクリストはロンドンに住んでいました。 お給料はポンド通貨(GBP)で支払われましたが、エストニアにある住宅のローンの支払いのためユーロ通貨(EUR)が必要でした。
二人は、時間とお金のかかる旧来の国際送金を利用して毎月送金・両替をしていました。
そんな二人がひょんなことから出会い、シンプルだけど画期的な送金の方法を思いついたことから Wise が誕生しました。
従来の国際送金と Wise の海外送金の違い
まずは Wise がこれまでの国際送金とどう違うのか、そしてなぜ手数料を安くできるのかについて解説します。
従来の国際送金のしくみ(日本からアメリカへ送金する場合)
従来の国際送金サービスを利用すると、日本の銀行口座から海外の中継銀行を経由してアメリカの銀行口座へお金が移動します。
日本の送金銀行、海外の中継銀行、米国の受取銀行でそれぞれ手数料が発生します。そのため送金手数料が高くなってしまいます。
従来の海外送金には次のような手数料が発生します。
- 日本の送金銀行:送金手数料
- 海外中継銀行:両替手数料
- 米国の受取銀行:受取手数料
例えば、楽天銀行を利用して日本から海外に送金する際にかかる費用は下記のとおりです(2022年1月現在)。
送金する金額にもよりますが、送金手数料だけで 5,000円〜数万円かかります。
事前に手数料がいくらかかるかわからないため、送金金額から相当な金額が引かれているのを見てびっくり、という経験者も多いはず。
このような状況でしたが、Wise を使うと送金したお金は国境をまたがないので格安で送金できるんです。
Wise の海外送金のしくみ
国境をまたがない海外送金ってどういうことなのか?
Wise の送金のしくみを絵にまとめるとこんな感じです。
Wise は世界各地に自社の口座を持っており、日本にもアメリカにもそれぞれ口座を持っています。
日本の送金人がアメリカへ送金する場合、日本の送金人は日本にある Wise の銀行口座へお金を振り込みます。すると、Wise はその入金を確認後、アメリカの Wise の銀行口座からアメリカの受取人の口座へお金を振り込みます。
つまりお金は日本とアメリカの間を実際には移動していません。
この方法だと海外の中継銀行を経由する必要がないので手数料が大幅にカットできるのです。
Wise の手数料と為替レート
Wise を利用する際の送金手数料はいくらなのか、また両替の際に適用される為替レートについて説明します。
送金手数料(transfer fee)
Wise を利用して日本からアメリカに国際送金する場合の手数料は
(両替額の)0.6% + 64円(定額)です(2022年1月現在)。
この送金手数料が適用されるのは、一か月あたりの送金額が 15,433,500円までの場合。
あとで詳しく説明しますが、送金前に実際にかかる手数料は表示されます。
従来の国際送金と違い、隠れたコストがないので安心です。
為替レート(exchange rate)
送金時には日本円が米国ドルに両替されますが、その際に Wise が適用するのはミッドマーケットレートと呼ばれる為替レート。
世界の通貨市場では、トレーダーが特定の通貨を「売り」「買い」することで通貨の為替レートが決まります。ミッドマーケットレートは通貨の需要と供給の中間にあるレートで、リアルタイムで変動します。
金融機関の多くはこのミッドマーケットレートに手数料(スプレッド)を上乗せしたものを「本日のレート」と提示して両替します。Wise ではこのような手数料が上乗せされません。
これは20万円を米ドルに両替・送金する際にかかる手数料を比較したもの。
一見すると、Wise の送金手数料(Transfer fee)が WorldRemit や PayPal にくらべて高いので他社で送金したほうがお得に見えます。しかし、WorldRemit と PayPal が採用している為替レート(Exchange rate)を見てみてください。
ミッドマーケットレートと比べるとわずか 0.0001〜0.0003 の違いですが、送金後に最終的に残る金額(You receive)には大きな開きができてしまうのがわかります。
金融機関の多くがこのように送金手数料を低くおさえる代わりに為替レートに手数料を上乗せしてお得感を演出しているのです。
Wise で送金する方法
Wise を利用して送金するのはとても簡単です。
以下の手順は Wise の口座をすでに持っていて本人確認を済ませていることを前提にしています。
マイナンバーを持たない海外在住者が Wise を利用する方法についてはこちらの記事に書きましたのでご覧ください。
送金の大まかな流れ
送金の細かな手順
大まかな流れを確認したところで、送金の手順を細かく見ていきます。
送金金額を入力し、右のプルダウンメニューから通貨を選択(この例の場合はJPYとUSD)します。
この画面で表示される「合計手数料」が実際にかかる手数料です。
今回の例では、送金人が20万円を送金すると、1,256円の手数料がかかり、$1,733.41を受取人が受け取ることになります。
「送金手続きへ」ボタンをクリック。
ここで受取人を選択します。
送金の目的を選択し、「送信する」ボタンをクリック。
送金金額、送金手数料、適用される為替レート、受取人への振込予定日、受取人の口座情報に間違いがないかを確認します。
問題がなければ、「続行することにより、私は利用規約を同意し、私の送金が利用規約に規定された外国為替及び外国貿易法上の規制対象取引に該当しないことを確認します」の横のチェックボックスをチェックを入れ、「確認して続行」ボタンをクリック。
この例では「ご利用の銀行から手動で入金する」を選択し、「送金手続きへ進む」ボタンをクリック。
※「デビットカード」を選択すると手数料が格段に高くなるのでご注意ください。
銀行振込の方法を選択します。
今回の例では「オンラインバンキング」を選択。
口座の詳細を確認しながら、ネットバンクから振込先に入金します。
振込みが完了したら「振込を行いました」ボタンをクリック。
今回は入金後、同じ日の数時間以内に「入金(JPY)を確認しました」というメールが届き、翌日の午前中には「USDを送金しました」という連絡がきました。
送金にかかる日数
今回の送金にかかった日数は 2〜4 営業日でした。
何十回も利用していますが、早ければ 2 営業日、遅くとも 4 営業日ほどで送金が完了するイメージです。
まとめ
説明が長くなりましたが、Wise を利用すると安く、それもスピーディーに送金できることがお分かりいただけたと思います。
なお、下のリンクから Wise に登録すれば、$500以下の送金であれば送金手数料が無料になります。気になった方はぜひお試しください!