数年前に買ったスリナムチェリー(別名ピタンガ)の木が最近になってカボチャのようなかわいらしい実をつけるようになりました。
なので今回はその生長過程と収穫して食べるまでをまとめてみます。
スリナムチェリーの基本情報
学名 | Eugenia uniflora(フトモモ科エウゲニア属) |
英名 | Surinam Cherry, Pitanga, Brazilian Cherry, Cayenne Cherry, Florida Cherry |
別名 | タチバナアデク、カボチャアデク |
原産地 | 南アメリカ東部(ブラジルなど) |
おすすめ度 | ★★★☆☆ |
スリナムチェリーの原産地はガイアナ、スリナム、フランス領ギアナ、ブラジル南部、ウルグアイ、パラグアイといった南アメリカ東部。
ブラジルやインドなどを中心とした熱帯アメリカで商業的に栽培されています。
スリナムチェリーはピタンガとも呼ばれますが、これはブラジル原住民トゥピー(Tupi)族の言葉で「赤い実」という意味だそうです。
樹高 2〜7 メートルほどの常緑低木で、食用としてだけでなく観賞用あるいは生け垣として利用されることが多いです。
果実は主に赤色系と黒紫色系の品種があります。
品種にもよりますが、発芽した種(実生)から栽培して実をつけるまでに早ければ2〜3年、遅くても5〜6年ほどしかかかりません。
実生からでも簡単に増やすことができるため、バミューダ諸島のように繁殖しすぎてしまっている地域もあります。
また、ストロベリーグアバと同じように、スリナムチェリーはミバエ(特に Caribbean fruit fly や Mediterranean fruit fly)の大好物なので、ハワイ島では果実の中に幼虫が潜んでいることもあるので注意する必要があります。
スリナムチェリーの栽培日記
今回収穫にいたったスリナムチェリーは、数年前にハワイ島の苗屋 Plant It Hawaii で購入した実生苗(発芽した種から栽培されたもの)です。
そしてこれが定植(地面に植える)してから数年後の同じ苗。
定植場所が悪かったからか、背丈はせいぜい1メートルくらい。あまり伸びてません。
スリナムチェリーはほかにも数本栽培してますが、場所によって樹高が2メートルを超えるものもあり、結構まちまちです。
1月〜3月 開花
ピンクの差し色が入ったかわいらしい白い花がたくさん咲きます。
多数ある雄しべは白く、葯(雄しべの先端)は黄色。
花は両性花(一つの花に雄しべと雌しべをもつ花)で虫媒花(昆虫が媒介して受粉が行われる花)なので、受粉は自然まかせ。
3月〜4月
果皮の色は緑色から橙色へと変わり
やがて橙色から赤色へと変わります。
果実の表面は光沢があり、8本の稜があります。
濃い赤色になったら食べどきなので、手で収穫。
放っておくと落果(果実が地面に落下)しちゃいます。
スリナムチェリーの開花期と収穫期
ハワイでのスリナムチェリーの開花期と収穫期は次のとおりです。
開花期:1月〜3月、8月〜10月
収穫期:3月〜4月、10月〜11月
一年に2回も収穫できます。
石垣島では、秋に収穫できる果実のほうが糖度が高いそうです。
スリナムチェリーを食べてみた
これが収穫したスリナムチェリー。
スリナムチェリーの実には大きめの種が1〜3個入ってますが、食べる際には取り除きます。
肝心の味はというと、かわいい見た目とは裏腹に独特のえぐみがあり、甘酸っぱいです。
えぐみは果皮に集中しているらしいので皮をむいて食べてみましたが、それでも特有の臭いがしました。
この臭いについて調べてみると、これは樹脂臭(resinous flavor)というものだそうです。
今回収穫したものは発芽した種(実生)から栽培したものですが、品種改良されたもの(例えば「ラバー」や「バーミリオン」)なら樹脂臭が少ないものもあるそうです。
それを期待して私たちは「ロリータ」という品種も栽培してます。
気になる樹脂臭ですが、それを軽減する方法については『庭先でつくるトロピカルフルーツ』の著者・米本さんはこのように書かれています。
(これらの品種は)樹上で完熟させた果実をもぎ取って果皮ごと食べることができる。しかし、果皮部にはえぐみを感じる成分が含まれるため、えぐみの嫌いな人は敬遠しがちだ。そこで、収穫した果実に縦方向に切り目を入れて種子を取り出し、二〜三時間冷蔵庫で冷やすと、果皮部にある樹脂様の匂いが揮発して食べやすくなる。また、冷蔵庫で冷やす前に種子を取り除いた果実に砂糖をふりかけておくと、食味がマイルドで甘くなり、ショートケーキやホイップクリームの上にトッピングするアイテムとしてイチゴに代わるものとなる。
次回試してみようと思います!
スリナムチェリーをジャムにしたらおいしかった
収穫した残りのスリナムチェリーは、砂糖を加えて煮詰めてジャムにしました。
これをヨーグルトにかけて食べましたが、見た目も鮮やかでびっくりするくらい食べやすくておいしかったです。
今後ほかの品種を食べたら意見が変わるかもしれませんが、現段階ではスリナムチェリーは生で食べずに加工していただきたいと思います。
(参考)
Twelve fruits with potential value-added and culinary uses